せんせのブログ

分析化学者としてのステップアップ! ~機器分析化学実験~

2024.09.18

本校のカリキュラムは、週に2日の実験日を設けています。

1年生の前期は、基礎化学実験と定性分析実験です。
器具の扱いや金属元素の性質を学びます。

1年生の後期は、機器分析化学実験です。
分析機器の扱いを学び、分析技術者としてステップアップします。

扱う機器は合計7種類
分光光度計、蛍光光度計、原子吸光光度計、熱分析計、FT-IR、液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフです。
これらは分析を仕事とする企業様において実際に稼働している装置であり、多くの分析に対応できます。

ガイダンスの際に、元製薬会社(T社)の社長をされていた非常勤講師のM先生からこの実験・実習の重要性について話がありました。
『我々の専門学校が、世間で活躍中の分析会社からたくさんの求人をいただけるのは、この実習のおかげといっても過言ではないと思う。』

これは言い過ぎではないです。
本校では、7つの機器について、原理はもちろん、装置のON / OFFの操作や、結果の解釈方法を学びます。
全ての機器についてとなると、大学生はもちろん、研究者でも修得していないことが多いです。
触ったことがあるというのは、どんな場面でも心強いアドバンテージになります。
それでは実験スタートです。

今回は吸光光度計とFT-IRを紹介します。
吸光光度計は、液体試料に溶けている物質(溶質)の量や濃度を定量する機器です。
水質の調査によく利用される基本的な機器です。本校では課外活動で行っている道頓堀川水質調査でも利用します。

試料の調製を間違えないように皆で確認しながら実験を進めます!
初めて触る装置に悪戦苦闘しながらも楽しんで取り組んでいました。
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機器に試料をセットし、そこに特定の光を当てます。
試料に何も含まれていなければ光は100%透過しますが、何か含まれていれば透過が遮られます。
この遮られた量を化学的に分析する装置です。

FT-IRは、特定波長の赤外線を当てて、固体試料に含まれる分子団グループの種類を特定する機器です。
機器の制御ボタンを押すと、瞬時に解析結果が画面に示されます。
学生からは感嘆の声が聞かれました!
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赤外線を機器で発すると、その波が特定の分子団に吸収されて、分子の運動が起こります。
吸光光度計と同じように透過が遮られたかどうかを確認し、分子団を特定します。
より具体的な原理は、本校の授業で学んでいきます。

分析機器さえ使えれば分析ができると思われがちですが、それは間違いです。装置は分析の結果(今回の機器であれば波の透過率)しか示してくれません。
それを解釈し、結論を導き出すことこそ分析化学者の仕事です。

分析機器なんて使えない。使ったこともない。でも興味がある!
そんな方にこそ、本校がお勧めです。多種類の機器を使いながら、データを解釈する方法が学べます。
解釈の仕方、分析の考え方もじっくり学びながら、分析化学者として一緒にステップアップしましょう!

By たかポン