2024.09.29
本校には土曜日、日曜日だけで開講している『化学分析学科』という学科があります。
専門学校と言えば、高校卒業すぐに進学する学校と考えて居られる方も多いと思いますが、この学科では、平日開講の学科に通学できない社会人やダブルスクールの大学生、フリーターや主婦などにも門戸を広げ、リカレント教育や資格取得の勉強をするための学科です。『高校を卒業していること』が入学要件ですので、高校を卒業してすぐに入学してきた学生もおり、今年度は各学年に1名ずついます。
入学してくる学生達の目標は様々で、本校で分析化学の知識と技術を学んで就職や転職を目指している方や、化学や化粧品に関する資格取得を目的としている学生が多い印象です。
平日開講学科と同様に2年間で卒業でき、卒業と同時に無試験で国家試験を含む4つの資格(毒劇物取扱者責任者・化粧品総括製造販売責任者・化粧品製造業責任技術者・環境管理士(2級))を取得できます。そのため近年は資格取得を目的とした方の入学が増えているよう思います。
毎週土日の2日のみの通学で、平日開講学科と同様に2年間で卒業できるようにするため、1日の授業時間数は多くなりますが、それでも他校にはない特徴の学科と言うことで、例年全国各地から学生が入学しています。京阪神地区の学生が多いですが、遠方から週末だけ登校し土曜日の夜は大阪で一泊して日曜日の授業が終われば地元に帰るという生活をしている学生もいます。
今日の1年生はキレート滴定という実験をしました。化学実験には様々な『滴定』の実験があります。これまでに中和滴定、酸化還元滴定などを行ってきましたが、今日はキレート滴定という実験です。そろそろ実技試験もありますが、実技試験前の最後の滴定実験です。今日のうちに滴定操作をしっかりマスターしましょう。
みなさんも中和や酸化還元という言葉は中学や高校の理科で習ったと思いますが、『キレート』なんて初めて聞いたという方もいると思います。キレートとは『カニのハサミ』を意味することばで、金属イオンを別の分子が挟み込むような形をとることからそのような名前が付いています。金属イオンの分析ではよく用いられる方法です。
今日はそのキレート滴定を用いて、銅イオンとアルミニウムイオンの量を求める実験です。
今日の実験は、どちらの金属の分析にもPANという試薬が重要な役割を果たします。まず銅とPAN試薬でどのような発色をするか理解した上で、アルミニウムの分析を行います。ガラス器具で徐々に試薬を加えていきますが、アルミニウムはなかなか反応しません。
バーナーで加熱しながら反応を進め、溶液にちょっと赤みがつくと試薬を追加する、という操作を何度も繰り返します。
これまですぐに反応する中和滴定などの実験は経験してきましたが、これほど滴定に時間を要する実験は初めてだったので、学生達も『もういいですか?』『この色で終わりでいいですか?』など何度も確認してきましたが、結局1つコニカルビーカーの溶液の分析に40分以上かかりました。
みなさんも薬品は混ぜたらすぐに反応する、と思っているかも知れませんが、時間のかかる反応は世の中にもたくさんあります。鉄が錆びるのも鉄の酸化反応のひとつですが、長い時間をかけて鉄は錆ていきます。
時間のかかる実験は手際のよい人ほど結果を誤ってしまうことがあります。これからもフラスコ内で何が起こっているかよく考えて、じっくりと実験に取り組んでくださいね。
by ドラいちろう